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◆生理(月経)とは
女性は周期的に、子宮内に内膜を増殖させて子どもを授かる環境を作っています。その後ある一定の期間が過ぎると、子宮内膜は剥離・脱落し膣口から出血するようになっています。これが生理です。そして個人差はありますが、思春期から閉経期まで周期的に生理が続きます。
◆生理痛とは
生理痛には個人差があり、ほぼ痛みがない方から痛み止めが必要な方まで様々です。
では生理痛はなぜ起こるのでしょうか?生理の際、子宮の内側に増殖した子宮内膜が剥がれ落ちていく過程で、プロスタグランジン(以下PG)という痛み物質が産生されることによって痛みが生じます。PGは痛みと共に子宮の収縮を促し、子宮内膜を押し剥がす作用があります。このPGの量が多ければ多いほど、生理痛は強いと言われています。
今回は、「どうして生理痛には個人差があるのか」、「そしてどのような要因でおこるのか」、東洋医学的な考えを書いていきます。
◆要因
【子宮内膜の血流が悪い】
増殖した子宮内膜の内側には血液が流れています。この血流が悪いと内膜へ栄養が行きにくくなり、老廃物質が溜まって内膜は固くなります。反対に血流がよければ栄養は行き渡り、老廃物質は溜まりにくく、内膜は柔らかい状態でいられます。「固い子宮内膜」は、「柔らかい子宮内膜」より剥がれ落ちる時に痛みを伴いやすいのです。
そして内膜の血流が悪くなる要素として以下の4点が考えられます。
1.身体の固さ(柔軟性)
身体が固いと血液循環が悪くなります。特に下半身の柔軟性が落ちている方は、子宮周辺の血液循環が悪くなる傾向があります。東洋医学でいうと、子宮と「足首の内側」や「ももの内側」は繋がっていると考えます。
2.運動習慣がない
筋肉は、収縮と弛緩という運動を繰り返すことでポンプの役割を果たし、血液の循環を助けています。運動習慣がない方は、このポンプ機能の働きが落ち、血液の循環が悪くなります。
3.座っている時間が長い
座っている時間が長いと血液の循環が悪くなります。上述した「ポンプ機能の低下」や、鼠径部の「血流の滞り」をおこしてしまうからです。
4.冷えを作る環境(冷房・薄着)
身体が冷えると血液循環は悪くなります。特に「細い血管」や「身体の中心から遠い血管」は、収縮が起こりやすいです。身体の他の部位よりも手や足などは冷えやすいことが、分かりやすい例です。
◆東洋医学からみた生理痛
東洋医学では、強い生理痛がある場合は「瘀血(おけつ)という状態であることが多いです。子宮の「瘀血」を一言で表すならば、「内膜の固さ」とイメージしてください。
「瘀血」、「内膜の固さ」の特徴を下記に挙げます。
・痛みの感覚が「ズキズキ」「引き剥がされる」「チクチク」「絞られる」「えぐられる」といった強烈なもの。
・血の塊が多い、大きい
・血の塊がでると痛みが引く・マシになる、もしくは落ち着く
・生理出血がある前に、オリモノに少し血が混じった「茶オリ」がある
※「子宮の瘀血」は流産や着床障害の要因にもなりやすいです。
◆鍼灸治療では
生理痛における鍼灸治療の施術目的は、主に以下の通りです。
1. お腹・腰の柔らかさを出すこと
生理痛が強いと身体は防御反応として「お腹」や「腰」の筋肉を収縮させて慢性的に固くします。慢性的に固くなった「お腹」や「腰」は循環を悪くさせるため生理痛に影響します。この悪循環を断ち切るため、施術で柔らかさを出していきます。
2. 滞っている場所を見極めること
皆さん同じ場所が滞っているかというとそうではなく、人によって異なります。そのためカウンセリングや検査などで、まずはその方の滞りを見極める必要があります。
3. 滞っているところを流す・巡らすこと
先ほど、強い生理痛がある場合は「瘀血(おけつ)」という状態であると書きました。東洋医学で言うところの「瘀血」とは血流の滞りから来るものであり、その方の滞っているところを流し、巡らせて「瘀血」を取り除くことが、生理痛の改善に繋がります。
4. なぜ滞るのか分析すること
滞りを示す「瘀血」の状態になってしまう原因は、東洋医学的に様々あり、それは人によって違うので、その人にとっての原因が何なのか、ということを分析しなければ、施術で瘀血を取り除いても、また瘀血が出現してきます。そのため原因の分析と対処は必須といえます。
参考ページ→生理からみた【妊活の体質】
◆最後に
生理痛は、東洋医学的にみると「滞り」によっておこることが大半です。この滞りは一朝一夕に形成されるものではなく、徐々に形成されるため、痛みが徐々に強くなったり、生理の度に強い痛みを感じたりするようになります。この悪循環を断ち切り、滞りを形成しないようにするために何に気を付けるべきかは人によって違うので、生理痛でお困りの方に、鍼灸院での施術も選択肢の一つであると知っていただけたら幸いです。
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