◆はじめに

鍼灸院にいらっしゃる方というのは、何かしら症状を自覚されていたり、不調が現れる兆候をお持ちだったりします。

整形外科・耳鼻科・消化器・泌尿器・メンタル・皮膚科・婦人科・自律神経系など、訪れる方それぞれに悩みがあり、症状や兆候というのも多岐にわたります。

皆さんは何か不調を感じたり症状を自覚されたりすると、それが医学的に何なのか、インターネットで調べたり、病院に行ったりしますよね。そこでいわゆる医学的な所見が見つかる方もいれば、うまく説明のつく所見が見つからない方もいます。

また、医学的な所見に基づき治療をしても良くならないことがあるのも事実で、医学的な所見が見つからない、見つかったのに良くならないといった場合には、この先どうしたらよいのか途方に暮れてしまうと思います。

そんな方たちに、考え方の一つとして「氷山の一角」理論をお伝えしたくて記事にしましたので、ご興味ありましたら読んでいただけると幸いです。

◆氷山の一角とは

「物事のごく一部だけが外に現れているさまの例え。重要な部分が隠されたままであること。」コトバンクから引用

◆これを症状・兆候に落とし込むと

２つに分解します。

【物事のごく一部だけが外に現れている】

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これが症状や兆候などとして現れている部分

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すなわち水面上の氷です。

【重要な部分が隠れたままであること】

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これが症状や兆候に変化がない理由、または残っている（隠れている）他の要因を指します。

　　　　　　　⇩

すなわち水面下の氷です。

つまり、症状や兆候だけ(水面上の氷)を取り除くことだけを考えてしまうと、重要な部分が隠れたまま(水面下の氷)で変化がでない、または症状が残る結果になってしまうということです。

◆隠れた部分とは？

隠れた部分は人によって異なり、何なのかを一言で表すことは難しいので、抽象的ではありますが例を挙げていきます。

・生活習慣(食事・睡眠など)

・体の使い方・姿勢的要因

・思考・ストレスの対処など

・症状の変化が出るまでの施術が足りない

などが考えられます。

体は単純なものではないため、発現している症状や兆候だけでなく、気づいていない要因や上記のような要因が複雑に絡み合っていることが考えられます。そして、これらと症状・兆候の因果関係があるか分析しながら鍼灸治療を行うことが鍼灸師の仕事です。

◆最後に

もちろん全てのケースに当てはまることはないです。しかし、もし状態に変化が見られないようであれば、このような考えを持っておくことも、お身体を良い方向に変えていくためには大切であると感じております。

患者さんの「治したい意思・気持ち」と施術者の「変化を出してあげたいという気持ち」が揃って初めて両輪として成り立ち、症状を改善に導くことができます。上記のように、隠れた要因があるなどにより、症状の変化がない中長期的な症状に関しては、残念ながらどちらかが頑張るだけでは変化が出にくいのです。一生懸命頑張ればよくなるよ、などと精神論を申し上げているのではなく、変化が出づらいからこそ、今起きている症状について考えられることは何か？を模索し、患者さんは変える努力、施術者は考え得る最適な施術、治療計画を立てることが大切ではないかと思っています。

そして最後にありふれた言葉で恐縮ですが、「あきらめないこと」「希望を捨てないこと」が、お身体を変えていく一つの原動力になるのだということを、お心に留めておいていただけると幸いです