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症状の出現で善し悪しを判断するのは

◆はじめに

大半の方は、予防のために鍼灸院に通うこと検討するというより、何かしらの症状が出現してから、鍼灸院に行くことをお考えになると思います。

それが一般的だし当然だろうと思いますが、その一方で、「症状が出現していれば行く」、「症状がなければ行かない」というだけの判断軸だと危険な考え方であると当院は考えます。

 

今回は様々な患者さんをみてきた現段階における私の見解を書いていきますので、ご興味ある方は最後までお付き合いいただけたら幸いです。

 

◆症状とは

症状とは、身体やメンタルからの警報サインであると考えます。

この警報サインを直訳すると、「今の生活スタイルを続けると身体やメンタルにとって危険ですよ」ということを身体は伝えてくれているということになります。

 

ですから、症状を抑えることだけを目的とした行為は、心身の警報サインを無視していると言えるのです。

 

しかし身体やメンタルは不思議なもので、症状が出ていても「それに対抗する一定の許容量がある」のです。

具体的には

・症状が出ても強くない

・症状が出ても無くなる

・症状が出ても何とか耐えられる

・症状が出ても対症療法で乗り越えられる

・最初は辛かったけど、これが当たり前になっている

など、です

 

上述したことは、身体やメンタルの許容量があるからこそ対応ができることなのです。

イメージでいうと「コップがご自身の持つ許容量」、「水が何かしらの負荷」と考えると分かりやすいかもしれません。

 

この許容量を超えてしまうと身体やメンタル症状が慢性化、複雑化していきやすくなります。

 

◆症状を抑える行為とは

対症療法のことを指します。

対症療法とは、「症状のみ」にフォーカスする療法を言います。

 

具体的な例でいうと、

・各種のお薬(痛み止め・安定剤・睡眠剤など)

・湿布、塗り薬

・患部の物理刺激だけ行う行為

(温める・マッサージ・ストレッチなど)

 

ちなみに上述したことを否定しているわけではなく、それだけに頼る考え方はご自身の首を絞める行為になりかねない、ということをお伝えしたいのです。

 

薬に関しては、病気や症状によっては飲み続けなくてはいけないものもありますので、専門医の指示に従っていただきますようお願いいたします。

 

以前、薬について記事を書きましたのでご興味ある方はどうぞ

薬とどう向き合うか

 

◆症状が収まればオッケー?

もちろん考え方は人それぞれで、状況や症状レベルによっては症状が収まればよいという方も一定数いらっしゃいます。

これは今までに「対症療法で乗り越えられた方」に多い考え方かと思います。

 

反対に

対症療法で乗り越えられない方

対症療法で乗り越えられない症状・時期(年齢・慢性悪化)などをお持ちの方

対症療法の歪(ひづみ)で他の場所に症状が出現する方

 

このような方は「対症療法」だけではなく、「原因療法」をしなくてはなりません。

 

◆原因療法とは

当院の原因療法の定義は、「なぜ、その症状が起こったのか?」ということを分析し、それに基づいて修正をかけていくことであると言えます。

説明が足りないので、いくつか具体例を出します。

 

ある症状が「自律神経の乱れ」から起こっている可能性があるとします。

「なぜ自律神経が乱れてしまったのか?」ということについて分析し、自律神経を安定させるための生活指導や、ものの考え方、ものの見方、身体の使い方、などの改善提案を行うことが原因療法です。

 

もちろん施術で「自律神経を安定させるための施術」、「症状が出ている器官へのアプローチ」も行います。

 

次は痛みを例として考えてみましょう。

痛みの症状が「なぜ長続きしてしまうのか?」ということを分析していきます。

痛み系で多い要因として

・身体の使い方が悪い

・筋肉がない

・筋肉の柔軟性がない

・不良姿勢

・上述したような対処療法のみを行っている

・無自覚のクセ

など

それに加え、慢性痛などは痛みを出さないようにするために「身体のどこかに歪みを出すこと」でバランスを取ろうとします。

 

腰痛で例を出すと、腰の痛みを回避するために

・股関節に負荷を逃がそうとする方

・膝関節に負荷を逃がそうとする方

・足関節に負荷を逃がそうとする方

・背中を丸くすることで負荷を逃がそうとする方

など

 

最初は負荷を逃がしているので症状は出現しないのですが、時間の経過とともに負荷を逃がした部位にも弊害が生じてしまいます。

そうして逃がす部位がなくなることで痛みが取れない状態に化けていきます。

 

最後にメンタル関連

一言にメンタルといっても様々なものがあります。

当院では、メンタル症状にアプローチするというよりも、「なぜメンタルが疲弊してしまっているのか?」ということ分析して、鍼灸での施術や生活指導、考え方、ものの見方、思考の整理などを症状に付随して伝えさせていただいております。

 

もう少し具体的にすると、

ある事象に対して

・ご自身が何を思っているのか、

・どんな感情を持っているのか、

・何に対して折り合いがつかないのか

・なぜ、そう思うのか

など

 

ご自身の内面を言語化していきます。

この内面を言語化する作業は難しいですし、矛盾をはらむケースもあります。

 

・ご自身の内面を言葉にできない方

・言葉にできるけど、「言うこと」と「行うこと」が違う方

・自分の気持ちは「こうなんだ」と思い込んでいる方

・頭の中で何かと戦っている方

・「どうせ私には無理」、「私なんかができない」と考えてしまう方

など

 

つまり何を言いたいのかというと、「痛みの歪み」と同様に「考え方・メンタルも歪みを起こす」ということです。

先ほどの例の裏側を一部書くと、以下のようなことが考えられます。

 

・ご自身の内面を言葉にできない方

     ↓

 自身の内面を言語化してこなかった可能性

   または

 自身の気持ちに蓋をしてきた可能性

 

・言葉にできるけど、「言うこと」と「行うこと」が違う方

     ↓

 「わかっていること」と「行うこと」の乖離→知行合一

 

・自分の気持ちは「こうなんだ」と思い込んでいる方

     ↓

 変えたくない核(考え方・アイデンティティー)を持っている

 

・「どうせ私には無理」、「私なんかができない」と考えてしまう方

     ↓

 自分を低く見積もることで自身を保つ思考

(期待や希望を持って達成できなかった時に落胆がきついから)

 

 

勘違いされる方がいらっしゃるので付け加えさせていただきますが、決してその方の「生き方」や「考え方」を否定しているわけではありません。

また上述した裏側の一部、例であって決めつけているわけでもありません。

しっかりとお話を伺ったうえで質問をし、その問いに対してご自身で答えを出していただくようにしています。

 

分析を行った上で「メンタルが疲弊する基である可能性が高い」場合、当院では鍼灸治療以外にも、こういった働きかけによって別視点での考え方を伝えることも必要であれば行います。

 

◆最後に

今回は「症状だけ」で何事も判断するのは危険な考え方であるということについて書かせていただきました。

この記事が当院のポジショントークのように感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし冒頭で申し上げた通り、大半の方が鍼灸院にお越しになる前に、既に「症状だけ」にフォーカスする対症療法を行ったけれど結果が出ていない、という現状があるため、症状の改善には原因にしっかりと向き合っていくことが不可避であると思うのです。

 

最悪のシナリオは「ずっと症状が続くこと」、「結果がでないこと」です。

 

ですから鍼灸院にお越しになるきっかけは「お悩みの症状」でも、当院は鍼灸治療と併せて「ご自身の課題」をクリアすることが重要だと考えております。

 

この考え方は「痛み疾患」、「自律神経症状」、「メンタル」、「妊活」、「原因不明症状」、「自己免疫疾患」、「膠原病」、「ガンに関すること」など普遍的に使えるものです。

 

もしお身体のお悩みに関して頭打ちしているのであれば、こういった考え方も少しずつ取り入れていただけると視野が広がるかもしれません。

 

長い文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。

何かの気づきになれば幸いです。

 

 

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