◆はじめに

「シワ」・「たるみ」と美容鍼のお話も、今回で３回目になります。

１回目は、「シワ」・「たるみ」になる要因についてのお話

２回目は、美容鍼によって効果が期待できる「シワ」・「たるみ」についてのお話

今回は、「シワ」・「たるみ」に対する美容鍼の「施術頻度」と「効果に関すること」について書いていきます。

◆施術頻度の前に

「これくらいの頻度で何回くらい通うと、このようになりますよ！」と最初にお伝えできたなら理想的ですが、残念ながら万人に対して同じ施術頻度で同じ期間通えば皆同じような効果があるわけではないので、なかなかそうもいきません。そのように考える理由は以下の要因です。

ご自身で気をつけられることもあるので試してください。

【ケア因子】

「シワ」・「たるみ」を作る環境因子として挙げられるのは、「乾燥」と「紫外線」です。

そのため乾燥・紫外線対策として、肌が乾燥しないように「保湿」することと、「日焼け止めクリーム」を毎日(季節天候関係なく)使用することをお勧めします。

【食事因子】

お肌の元となる組織は、主に食べ物の栄養素からできます。

偏りのある食事、ビタミンやたんぱく質などが著しく少ない食事などはお肌に影響しますので、バランスの良い食事を心がけましょう。

【睡眠因子】

睡眠はお肌にとっての栄養です。睡眠時間が短かったり睡眠の質が悪かったりすると、肌に充分な栄養が行き渡りません。睡眠時間の確保や、睡眠の質を改善させる工夫をしましょう。

【ストレス因子】

一過性のストレスであれば影響は少ないのですが、中長期のストレスは常に頭を働かせて表情筋をこわばらせます。この対処は一番難しいうえ、お顔にとって大きな負荷になります。

その点美容鍼や鍼灸施術はストレスを低減することもできるので、お勧めです。

【年齢因子】

この話は誰もが避けては通れないものです。

年齢を重ねれば重ねるほど肌のターンオーバーは遅くなります。つまり若ければ若いほど、効果が出るまでの時間は短くなりやすい傾向にあります。

ただ上述した因子の影響もあるため、単純に年齢だけで判断できませんので、歳のせいだと悲観的にならないでください。

◆施術頻度について

前置きが長くなってしまいましたが、次に目的ごとの施術効果から施術頻度について説明します。

【真皮】

真皮に、傷をつける→修復する→傷をつける→修復する、を繰り返すことで肌に変化を出していく方法です。微細な傷の修復には1週間～2週間ほどかかるといわれております。

一回の施術で肌に微細な傷をつけるには限界があるため、１週間ほどの頻度で肌に刺激を入れていくことを勧めています。

【表情筋】

表情筋の使用過多、表情筋を使わない(使いづらい)ことによるものは、施術の直後反応は出やすいのですが、身体は施術前の状態が通常だと判断するため持続力がありません。施術効果は概ね３日～１週間ほどです。

【表在性筋膜】

このアプローチも施術の直後反応は出やすいですが表情筋と同じように施術効果は概ね３日～１週間ほどです。

【顔面骨のズレ】

顔面骨の施術反応も３日～１週間ほどです。

各目的の施術効果を総合すると、最初のうちは１週間に１度の施術をお勧めします。

回数を重ねるごとに施術効果の持続力が出てきます。

お顔の変化が出て、よい状態を維持できるようになったら2週間に１度、３週間に１度と施術間隔を空けていきます。

では、どのくらいで「シワ」・「たるみ」に変化の実感が出てくるかというと、「人によります」というと曖昧な答えになってしまいますが、これでは目安がわからないので、年齢によって概ね、

３０代：２カ月

４０代：３カ月

５０代：４カ月

６０代：５カ月

くらいの目安を持っていただけたらと思います。

再三申し上げているように、人によって生活習慣などが違うため参考程度にみてください。

◆効果について

美容鍼は短期的に施術効果を実感できる「直後効果」と、中長期的な施術効果を実感できる「累積効果」があります。各効果について、よくある感想や実感を挙げてみます。

※効果には個人差があります。

【直後効果】

顔がスッキリした、むくみが取れた、目がいつもより開く、顔が上がった感覚がある、など

これは施術によって顔の循環がよくなることや、固まってしまっている表情筋や表在性筋膜が緩んだことにより起こる反応です。

【累積効果】

肌にハリが出てきた、シワが薄くなった、以前より「たるんでいる」感じが少ない、など

これは継続的に肌に刺激を加えたことにより、新しい真皮組織がでてきたこと、表情筋の影響による「シワ」・「たるみ」に変化がでてきた反応によるもの、などが考えられます。

◆最後に

ただ何となく通うのも良いですが、目的が分かっているのも良いと思い、細かく書いてみました。鍼灸師によっては考え方が違うこともあるので、あくまで一般的かつ解剖生理学の理論に沿った「シワ」・「たるみ」に対する美容鍼の効果について説明しております。

どのことにも共通することですが、お肌にとってよいことを「継続する」こと、お肌にとって悪いことを「断ち切る」こと、時には生活を振り返りながらコツコツと続けることが、老化だけでなく、様々な因子によるお顔の変化を緩やかにしてくれるのではないでしょうか。

 今回で「シワ」・「たるみ」と美容鍼のお話は一旦終了します。