◆はじめに

前回の記事は「シワ」や「たるみ」になる様々な要因について考えられることを書いてみました。今回は美容鍼によって効果が期待できる「シワ」や「たるみ」について書いていきます。

前回の記事を基に話を進めていきますので、

見ていない方は前回記事→「シワ」・「たるみ」と美容鍼・その１も読んでいただければと思います。

◆前回の内容の簡単なおさらい

各種「シワ」や「たるみ」になる要因を簡単におさらいします。

【真皮】

「肌のハリ」となる組織の衰えによるもの。

真皮の層には、「コラーゲン」、「エラスチン」、「基質」、「線維芽細胞」があり、これらの衰えや部分的な欠損によるもの

【表情筋】

・表情筋を使わないことによるもの

・表情筋を使いすぎて起こるもの

【表在性筋膜】

顔表面のラップフィルムみたいな膜の「ヨレ」

【顔の骨】

・顔の骨が薄くなることによるもの

・顔の骨がズレることによるもの

【舌】

舌の働きの衰えにより表情筋が多く使われることによるもの

【その他】

顔面神経繊維の減少、または脂肪の垂れ落ちによるもの

◆美容鍼による効果が得にくい「シワ」や「たるみ」の要因

まずは美容鍼では効果が得にくい要因について説明します。

・顔面骨の減少

骨の厚みがなくなることで、皮膚のヨレに繋がり「しわ」や「たるみ」を形成するもの

・顔の脂肪の減少・垂れ落ち

顔の脂肪が減ることで、皮膚のヨレに繋がり「しわ」や「たるみ」を形成するもの

脂肪が垂れ落ちて「しわ」や「たるみ」を形成するもの

・個々の表情筋のクセ

日常生活で顔の表情に癖がある方。例えば眉間にしわを寄せる癖があるなど

施術で「しわ」や「たるみ」のアプローチを行っても、日常でのクセを直さないと±０(プラスマイナスゼロ)になりうるということです。

もしクセによる影響も考えられると判断した場合、その旨を伝えていきますので日常生活でもクセが出ないように意識しましょう。

◆美容鍼によって改善が期待できる「シワ」や「たるみ」の要因

次に改善が期待できる要因について説明します。

前提として、アプローチ方法によって「鍼の深さ」や「鍼を打つ場所」が異なりますので、ツボでの表記は行いません。

【真皮へのアプローチ】

皮膚表面から深さ約0.2㎜に達すると真皮層に達します。真皮の厚さは１㎜～４㎜といわれており(部位によって異なる)、鍼のアプローチは真皮層に鍼先を留めるように行います。

鍼によって真皮に微細な傷をつけることで、人間が持っている自己修復作用で新しい「肌のハリ・弾力」の基となる組織を作ります。

【表情筋へのアプローチ】

顔には細かく小さな表情筋が沢山あります。その中から「しわ」や「たるみ」形成に関連する筋肉へのアプローチを行います。

表情筋が使いづらくなっていることで起きている「しわ」や「たるみ」なのか？

表情筋の使い過ぎやクセによって起きている「しわ」や「たるみ」なのか？

部位ごとに判断をしながらアプローチを変えていく必要があります。

【表在性筋膜へのアプローチ】

当院では、頬下やフェイスラインを引き上げながら鍼をする方法を取ります。

ラップフィルムのような顔表面の膜(筋膜)を引き上げながら行うことでラップフィルム(筋膜)のヨレを伸ばしながらアプローチしていきます。

【顔の骨のズレに対するアプローチ】

私たちの骨は、完璧な左右対称ではなく、皆微妙なズレがあるものです。しかし何らかの影響で、その骨のズレが大きくなってしまうと皮膚のヨレになり、「しわ」や「たるみ」を形成します。

骨が大きくズレている場合は調整し、皮膚への負荷を減らすアプローチを行います。

【舌の運動によるアプローチ】

これは施術をするということではなく、舌の運動指導になります。

舌が衰えると表情筋を使い過ぎる→皮膚に負荷がかかり「しわ」や「たるみ」を形成する

この場合、舌をトレーニングで衰えを防ぐことも必要になります。

◆最後に

どの要因によって「しわ」や「たるみ」を形成しているかは人によって様々なので、美容鍼によるアプローチについて大きな括りで説明しました。実際にお顔をみてみないと分からない部分があるのでご理解ください。美容鍼といっても「何を目的として行うのか」、「どんな見立てがあるのか」、「どのような効果を狙って行うのか」というのが少しでも分かっていただけたら幸いです。

次回は解剖生理学からみた「しわ」や「たるみ」の対する「美容鍼の頻度」について説明していきます。（仮）