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【四診】望・聞・問・切

東洋医学は鍼や灸、漢方といったものを使って心身にアプローチします。

そのため、東洋医学=「鍼や灸を行う」、「漢方を処方する」というように認識されることが多いと思いますが、実はそれらは東洋医学の一つの側面にすぎません。

 

「鍼や灸をどこに行うか」、「どの漢方を処方するか」といったことを、情報がない状態で闇雲に行っても効果は望めないため、先ずは情報を収集し、整理し、分析してはじめて、「鍼や灸を行う」、「漢方を処方する」ということに繋がります。

 

つまり、この「情報の収集」「整理」「分析」も、東洋医学の一部なのです。

 

今回は患者さんの状態を把握するための東洋医学独自の情報収集ツールの四診(ししん)である、「望(ぼう)・聞(ぶん)・問(もん)・切(せつ)」について書いていきます

 

この記事は私施術者の経験や解釈の基、アレンジしておりますので教科書通りの情報ではないことをご了承ください。

 

ご興味があれば最後までお付き合いください。

 

◆望・聞・問・切とは

東洋医学では、患者さんの症状を分析するにあたって、

・望診(ぼうしん)

・聞診(ぶんしん)

・問診(もんしん)

・切診(せっしん)

というもので情報を集めていきます。

 

【望診とは、「視覚」から得られる情報】

顔色・肌の状態・動作・挙動・舌の形や色などを観察します

もう少し具体的にすると

「カウンセリング票に書かれた文字」、「待っている時の姿勢」、「眉間にシワを寄せるクセ」、「手や足を動かすクセ」、「目を合わせてくれるか」、「小さな静脈瘤がある場所」、「湿疹や掻き傷の場所」など

 

【聞診とは、「聴覚」から得られる情報】

声のトーン・話すスピードなどを確認しています

他にも「会話の間」、「ドアを開ける勢い」、「歩く時の足音」、「鼻をすする・咳払いをする」などの患者さんが出す音も聞診の中に含んでいます。

 

聞診の中には、一般的に「嗅覚」によって得る情報も含まれますが、当院では施術者が常時マスクを着用していますので、嗅覚に関する情報は取得していません。

 

【問診とは、カウンセリングから得られる情報】

カウンセリングを通じて、患者さんの自覚症状や関連症状について伺います。

カウンセリングの本質は「情報の整理」と「情報の共有」にあります。

 

◆情報の整理とは

今までにどんな生活を送ってきて、症状はどんな経過を辿って形成されたのか?

どんなことで症状が悪化するのか?どんなことで楽になるのか?

症状に関連する情報を整理していきます。

皆さんが思うよりも詳細に伺います。

 

実は患者さんご自身が症状に関する情報の整理をできていないことがあります

細かく聞くと、そこまで「考えたことがなかった」、「意識したことがなかった」とおっしゃる方も少なくないです。

また現代は情報をネットから簡単に得られるので「思い込み」をされている場合もあります。

 

◆情報の共有とは

患者さんは、「ご自身の身体に起こっていること」、「感情などの気持ち」、「今後どうしていきたいか」など、施術者にご自身の情報を正確に伝えることを情報の共有と定義します

 

反対に施術者は、患者さんの情報を基に「どのようなことが考えられえるのか」、「どのような施術を行うのか」、「どのような経過を辿る可能性があるなどの今後の見通し」を伝えることを情報の共有と定義しております。

 

つまり、お互い持っていない情報を相手に伝える作業を「情報の共有」といいます。

 

【切診とは、身体を触って得られる情報】

直接、患者さんの身体に触れて情報を得るものを指します。

・脈から情報を取る脈診

・お腹の圧痛や固さ、抵抗感などをみる腹診

・ツボの反応をみる

・症状に関連しそうな筋肉の状態確認

など

 

◆四診の重要性

なぜ、ここまで細かく分けて情報を取得していくのかというと、皆さまが思っているより身体は複雑だからです。

 

ましてや初めてお会いする方の「身体」や「メンタル状態」を理解するには、情報を多く取得できることは非常に大切なことです。ですから当院では、少しでも多く関連のある情報を取得するように心がけております。

 

また一つ一つの情報は大した意味を持ちませんが、その情報を繋ぎ合わせていくことにより、「お悩み症状」を変化させるための重要な情報へと化けていきます。

言うならば、「パズルのピース」と同じです。

パズルのピースも一つ一つでは何を表しているかは分からないですが、繋ぎ合わせていくことで描かれている作品が見えてきます。

 

◆最後に

東洋医学の四診について自分なりの解釈を入れて説明させていただきました。

冒頭で、四診は患者さんのお悩み症状を把握するための情報収集ツールと書きましたが、別の見方をすれば、その患者さんの症状を形成してきた背景を探る手段であると言えます。

 

症状を形成した背景とは、患者さん自身の「生活習慣・環境・考え方・物の見方・無自覚のクセなど」を指し、これらを把握することこそが東洋医学の四診ということになります。

 

ですから、東洋医学の四診は「病気」や「症状」だけをみているわけではないのです。

 

同じ人間なのに「健康な方」と「健康でない方」に大きく分けられます。

健康でない方というのは、「自覚していながら不健康な生活」をしていたり、「無自覚に心身に負荷」をかけていたりする方が大多数です。

そういったことの把握も含めてお悩み症状に対峙していかない限り、皆さんが思い描いている結果には辿り着きません。

 

当院はこのような考えの基、計画を立てて鍼灸治療に当たっております。

参考になれば幸いです。

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