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「卵巣力」と「子宮力」という考え方

◆はじめに

突然ですが、タイトルの「卵巣力」と「子宮力」というのは、いわゆる造語というやつです。

東洋医学は、独自の観点で身体をみて分析を行い、その分析を基に施術方針を決めて施術を行います。

受け手である患者さんの側からすると、東洋医学的な専門用語は時に少し分かりづらいことがあるのではないかと思います。 

今回は、そんな専門用語をかみ砕き、「卵巣力」と「子宮力」という言葉に置き換えて、婦人科疾患や不妊治療に纏わる東洋医学の考え方について書いていきます。

 

◆卵巣力とは

東洋医学では、「卵巣の力がある」というのは、卵巣に卵を作る力があり、卵胞の発育状態が良いことを指すと考えます。

女性が生涯に卵を作れる数は有限なので、いずれは卵が作られなくなって、卵巣の力は落ちてきます。

概ね更年期(50歳ごろ)あたりから卵巣で卵が作られなくなってきます。

 

しかし妊活中の方でも、「卵胞の発育が悪かったり」、「卵子や受精卵の状態がよくなかったり」する方がいらっしゃいます。

卵巣力が低下していると考えられるのは以下の通りです。

・排卵までに時間がかかる(低温期が長い)

・排卵誘発剤(薬・注射)をしても育ちが悪い・胚盤胞までいかない・空胞・グレードが悪い

・無排卵

など

 

【東洋医学的な見立て】

腎精不足、腎気虚、腎陰虚、腎陽虚、脾腎両虚、血瘀など

 

◆子宮力とは

東洋医学でいう「子宮力」とは、主に3つあります。

① 血(けつ)を溜めることができる

東洋医学では子宮内に血(けつ)を溜めることで子宮内膜が厚くできると考えます。

子宮の力が低下していると子宮内に血(けつ)が溜められなくなり、子宮内膜が薄い状態になりやすいです。

血を溜められていない例:

・内膜が薄い 

・出血期間が短い

など

 

【東洋医学的見立て】

血虚、気虚、気血両虚、痰飲など

 

② 内膜に柔らかさがある

東洋医学では子宮内膜の柔らかさも不妊治療や生理痛などの婦人科疾患と関連があると考えます。

他の記事でも書きましたが「柔らかい内膜」と「硬い内膜」では、どちらが着床―成長しやすいか、また生理時には内膜が剥がれる際にどちらが痛みを伴いにくいか、想像できると思います。

子宮内膜が硬い例:

・経血に塊がある

・生理痛が強い

・生理1~2日目の茶おり

など

 

【東洋医学的な見立て】

血瘀、気滞血瘀、気滞、肝気鬱など

 

③ 経血を押し出す力がある

生理時には、子宮は剥がれ落ちた内膜を外に押し出そうとします。しかし子宮の力が弱いと剥がれた内膜を押し出す力が足りず、滞りや子宮内膜の残存を形成します。これも東洋医学的には、病態として症状を起こす下地になります。

経血を押し出せていないと起こる症状例:

・子宮内膜症

・チョコレート嚢胞

・生理の中休み

など

 

【東洋医学的な見立て】

気虚・気血両虚・腎気虚・肝気鬱など

 

◆鍼灸では

婦人科疾患や不妊治療で鍼灸治療を受けていただく際は、まずどんなお悩み症状かを具体的に伺う必要があります。

症状を具体的に伺った上で、「卵巣力」の底上げか、「子宮力」の底上げ、または両方の底上げが必要かを判断します。

卵巣と子宮は連動するので、どちらか単体の強化をするというよりは、施術比重を卵巣または子宮のどちらに置くかを判断し、施術方針を立てていきます。

 

◆最後に

今回は東洋医学的な見立てを「卵巣力」と「子宮力」という言葉を使って説明しました。

東洋医学の専門用語を使わず、このような表現を使う方がわかりやすいかと思い、書いてみました。気になる症状がありましたら、他のページと併せて参考にしてみてください。

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