◆はじめに

副症状で「食い縛り」を訴える方は意外なほど多くいらっしゃいます。

症状を起こす背景は人によって異なりますが、「起こっている症状は体からのサインである」ということはどの症状でも同じです。

今回は「食い縛り」について鍼灸の臨床を通して考えられることについて書いていきたいと思います。

※歯の問題に関しては専門外なので除外します

 

◆食い縛りを作る筋肉

食い縛りとは、噛む力が「強い」かつ「持続的」という状態の時に、症状として自覚します。それに加えて、必要のない時にも無意識に噛みしめている状態です。

 噛みしめるという動作は、主に「咬筋(こうきん)」と「側頭筋(そくとうきん)」という筋肉を縮めることで行われます。

※イラストを参照

本来、噛む行為は「食べ物を細かくする」時と、重たいものなど持ち上げる時に「力が入りやすくする」ために行う動作です。

 

◆食い縛りの要因

上述したように噛む行為は「食べる」、「力を入れる」時に使われるものであって、それ以外は使わなくても日常生活を過ごす上で問題はありません。

食い縛りが起こる原因として「筋肉の過緊張」がベースとしてあります。

では、この顎の筋肉の過緊張はなぜ起こるのでしょうか？

主に

・筋肉が緊張しやすい環境要因

・自律神経、精神的要因

の2つに大きく分けられます。

 

【筋肉が緊張しやすい環境要因】

顎周りの筋肉が緊張の影響で食い縛りを起こします。

①首肩凝り

筋肉は筋連結といって筋肉同士で繋がっています。

首や肩の大きな筋肉が固まると顎周りの筋肉も硬くなり、緊張状態を起こしやすくなります。

 

②スマホ・PC

電子機器の影響は２つあります。

１つ目は【首肩凝り】です。理由は上述した通りです。

２つ目は【目の影響】です。目の使用は側頭筋の緊張を強くします。

 

③姿勢

「背中が丸くなる」、「顔が前に出る」などの姿勢不良は、「首肩凝り」と「嚙合せ」の悪化を起こし、顎周辺筋肉の過緊張へと繋がります。

 

【自律神経または精神的】

・ストレスを強く感じてる

・時間に追われている

・常に頭を回している

・不安を感じている

・疲労状態、睡眠不足

などが続くと、脳は興奮しています。

これは即ち交感神経が優位な状態が続いているという事です。

交感神経が優位な状態は、筋肉の緊張状態が維持されやすく、筋肉を緩める時間が少なくなり顎周辺の筋肉の過緊張が起こります。

 

◆食い縛る方の特徴

「上述した食い縛りの要因が重なること」、そしてそれらが「長期間続くこと」で、顎周辺の筋肉の硬さを形成します。

また本来、リラックスしているはずの、睡眠中も交感神経が優位になってしまい、寝ている間も食い縛っている方もいらっしゃいます。

食い縛りの症状を持つ方の睡眠状況は以下の通りです。

＊起床時、顎が痛い

＊寝つきが悪い

＊睡眠の途中で起きてしまう

＊途中で起きてしまった後寝付きにくい

＊よく夢を見る(何かに追われている夢)

など

 

◆東洋医学・鍼灸の考え方

鍼灸で顎周辺筋肉の緊張を取り除くことで、一時的には症状は落ち着きますが、戻ってしまう方が大半です。

そのため「なぜ食い縛りが起こるのか？」という原因に対するアプローチが重要になってきます。

具体的な例としては以下の通りです。

＊首肩凝りに対する施術

＊眼精疲労・疲れ目に対する施術

＊睡眠の質の向上を目指す施術

＊自律神経の乱れに対する施術

など

 

 ◆最後に

現代は「スマートフォン・PC」、それらの使用による「情報過多」、「姿勢不良」、「ストレス」など、食い縛りを作る環境がとても多い状況です。

知らず知らずのうちに顎周辺の緊張が強くなり、食い縛りが常態化します。

食い縛り症状が続くと、「自律神経の乱れ」から起こる症状を形成する可能性があるので、自覚がある方は早めに対処することをお勧めします。

参考になれば幸いです。