皆さんは、「イフゼンプランニング」という言葉を耳にしたことはありますか？

「イフゼンプランニング」とは、文字通り、

「if（もし）Aをしたら、then（その時に）Bをする」というルールに則って

planning（計画を立てる）ことをいいます。

実生活で効果的な手法である「イフゼンプランニング」は、実は鍼灸の臨床においても、とても役に立つ考え方です。

今回は、この「イフゼンプランニング」について、鍼灸の臨床に当てはめて書いていきます。

様々な記事で書いておりますが、当院は「施術」や「施術時間をどう過ごしていただくか」だけでなく、「ここにきていない時間（＝日常生活）をどう過ごすか」ということが、症状の改善を図るうえでとても大切だと考えております。

「ここに来ていない時間」を、ご自身のお身体にとって少しでも良い時間にしていただくために、「宿題」を出したり「生活指導」を行ったりします。

例えば

・肩回ししましょう

・足のトレーニングしましょう

・歩く時クセがあるから○○に意識しておいてください

・休む時間３０分確保しましょうね

などです。もちろん理由もつけます。

やる理由を説明して納得していただいた方がやる動機になるからです。

しかし、やる動機があっても「いつやるか、というプラン」がないと、なかなかご自身の生活に組み込めず、結局あまり実行できなかったり、長続きしなかったりする方がいらっしゃいます。

そのような時には、この「イフゼンプランニング」という手法を使って、「いつ実行するか」というところまで一緒に考えるようにしています。

具体例を出すと、

・毎トイレ休憩時に肩回しをする

・お風呂の前に足のトレーニングをする

・通勤・帰宅途中にクセに気をつけて歩く

・お昼ご飯を食べたら休む時間を取る

などです。

このような「宿題内容」を、「ご本人の生活」に上手く組み込むにはどのタイミングが最適かを、お話ししながら一緒に考えていきます。

一日の行動の４０～５０％は習慣化されたものだそうです。

日常を変えるというのは、たとえそれが自分にとって有益であると頭では理解していても、実際に行動に移すのはなかなか難しい、という方は意外と多いです。ですから、食事の後には歯を磨く、というのと同じように、ご自身の習慣の中に上記のようなことをうまく組み込んでいきます。

余計な意思決定を省き、目的を遂行することが「イフゼンプランニング」ですので、やろうかな、どうしようかな、面倒だな、といったことを考えず、トイレに行ったら肩を回す、などの宿題が、自然に習慣化されて遂行できるようになれば、それがお悩みの症状を無くしていくための土台作りになるはずです。

こういう小さな行動の積み重ねが健康への第一歩だと私は考えています。

参考になれば幸いです。